VMware Cloud on AWS マルチテナント
みなさんは、VMware Cloud on AWSに新たな選択肢として、「マルチテナント」というものがあることをご存じでしょうか?
VMware Cloud on AWSでは、基本的に2ホスト以上のベアメタルで利用するホステッドプライベートクラウドサービスになります。
2020年7月16日に発表されたアップデートにおいて
・i3en.metalインスタンスの追加
・2ホスト構成のサポート
・VMware Tanzu Kubernetes Gridを用いたクラウド ネイティブ インフラの採用
・ネットワーキング オプションの拡張(VMware Transit Connect)
上記に加えて、
・MSPサービス提供としてマルチテナントサービスの開始
が発表されました。
そもそも、ここでMSPとは?に軽く触れます。
VMware Cloud on AWSを利用する場合、2種類の方法があります。
1つめは、SPP(ソリューションプロバイダプログラム)
2つめは、MSP(マネージドサービスプロバイダプログラム)
といものです。
SPPでは、VMwareと直接ライセンス契約を結ぶ形をとります。そのため、サービスプロバイダからVMwareクレジットを購入し、お客様のアカウントにおいて利用を開始します。この場合、テクニカルサポートなどの窓口はVMwareが用意します。また、VMware社のサービス利用規約に基づいて利用することになります。
MSPでは、MSP提供パートナーにおいて、独自のサービス利用規約を用意し、それに基づいてサービスを利用します。テクニカルサポートなどの窓口は、MSPパートナーが用意することになります。
MSP提供パートナーは、コンピテンシー要件によりレベリングされ、いくつかの段階に分けられます。価格やサービス内容から、最上位パートナーを選択するのが良いということになります。(一般的に最上位パートナーがコストバランスがとれているからです。)
MSPとSPPの違いにおいて、ではどちらを選択すべきかということになりますが・・
これについては、VMware社と協議の上決定するということに、結論としてはなります。一般的に、必ずしも価格においてどちらが安価などということはありません。ケースによるからです。また、提供されるサービス内容も提供するMSPプロバイダによるため、慎重に選択する必要があります。例えば、事業継続性要件が高いシステムにおいて、サポート内容に不安があるなどあると非常に困ったことになるからです。
また、SPPにおいては、サポート窓口は基本的にチャット対応になります。こうしたケースにおいて、やはり電話窓口が用意されているのはありがたいと感じる企業様も多いのではないかと思うんですね。
また、オンプレとVMCのハイブリッドで利用されているような場合、オンプレの提供SIerがMSPパートナーであれば、双方とも一元化運用できるなど利点も想定されます。
このように、ケースによるという理由は上で述べたとおりだからです。
さて、前置きはこのくらいにして、マルチテナントです。
ホスト提供型のサービス(従来の利用法)を建屋全体を利用するイメージとすると、マルチテナントはマンションを利用するイメージとなります。
ホストはMSP提供パートナーが管理し、その上で各ユーザーにリソースを割り当て、VM単位で利用する形です。
ホスト単位で利用するよりも安価でVMware Cloud on AWSを利用できるというのがメリットです。
ただし、いくつかの利用制限はあります。例えば、接続は現在のところVPNを介した接続したできません。ホスト提供型では例えばHCXを利用したL2延伸などが可能ですが、そうした機能は現在では利用不可となります。
インフラ基盤はMSPパートナーにて行い、ユーザーは専用の管理コンソールからVMの管理を行うイメージとなります。
AWSでいうところのEC2を利用するイメージに近いかなといったとことですね。
また、今後サービス内容はアップデートされる予定とのことですので、接続方法なども拡張される可能性はあります。
なお、リソース共有型ということで、他ユーザーとの共存であることに不安を感じられてしまうことも想定されますが、そのユーザーが管理するリソース以外はすべてマスキングされて提供されるので、そうした心配は不要です。
2ホスト構成もサポートされ、よりスモールスタートが可能となってはいますが、さらにVM単位で例えば検証的に利用して、そこからホスト型を使用するなどのケースにも対応できるようになりました。
また、小規模環境の移行にも対応できるようになったというのは、大きいのではないかと考えています。
以上、今日はここまで。