VMware Cloud on AWS利用時に感じたこと
AWSのベアメタル上でVMware環境を実現し、オンプレ環境からパブリッククラウドへの移行を容易に実現できるVMware Cloud on AWSですが、実際に移行作業を行ってみて感じたことをお伝えします。
・自社や他社提供のデータセンター運用の費用対効果と比較して、クラウド運用のほうが魅力的
・キャパシティの増減が毎度面倒だ(保守切れのたびに稟議あげて機器選定してというのも大変)
・運用の手間やコストを削減したい
などなど・・
こんな理由でクラウドへの移行を検討している企業は、かなりの数あります。(というか、、大企業に限らず中小企業でもほとんどの企業は一度はクラウドを検討しているのでは?)
実際に、保守切れに伴うリプレースについてご相談いただく際、AWSやAzureを検討したいというのは毎回出てくる話・・・
ただ、AWSやAzureなどパブリッククラウドへ移行するときを想定した場合・・
・これまでと運用手順を変更する必要がある
・オンプレミス環境との連携はどうなのか?
・現環境はそのまま使えるのか?
他にも悩みはつきないところです・・
そんなあなたに!! ・・・(笑)
VMware Cloud on AWSを検討してみてもいいのではないか思います。
実際のユースケースとしては、下記のようなものが想定できます。
・パブリッククラウドへ、現在と運用手順を変えずに移行したい
・オンプレやプライベートクラウド環境と、シームレスに連携させつつ移行したい
・既存の環境を統合したい
・BCP対策、DR対策を容易に実現したい
他にもいろいろあるでしょうが、、
この図は、VMware Cloud on AWSの概要を示しています。
特徴として
・VMwareが販売し、管理、運用、サポートを行います。
※vSphere、vSAN、NSXなど仮想環境の足回りをVMwareが面倒みてくれるイメージ
・オンプレミスと完全に一致した環境を実現できます。
・AWS基盤上の環境なので、AWSネイティブサービスへ直接接続できます。
要するに、今VMware環境で利用しているものは、そのまま持っていけるってことです(難しく考えなくてもそのまま使えちゃうってことです)。しかも、移行も簡単だし、なんならオンプレとの接続だって簡単にできちゃう上に、相互の移動も操作一つでしかも無停止(方法、環境によりますが・・)でいけちゃいます。
実際に、AWSへいきなり持ってくのは不安だし、今利用しているアプリだって開発しなおしするとなるとコストが・・という場合、リプレースを機に一度VMware Cloud on AWSにもっていき、あとはゆっくりAWSネイティブ上に移行するという(リフト&シフト)ケースも想定できます。特に、レガシーOSをまだ利用している企業では、こんな状況もあるのではないでしょうか。
VMware Cloud on AWSの紹介が長くなってしまいましたが・・・
実際に、VMware Cloud on AWSへの移行作業をやってみて感じたことは大きく2つありました。
まず1つめ。
VMware Cloud on AWSと既存環境をシームレスに接続する場合(移行も含め)、まず方法としてVMware NSX Hybrid Connect(HCX)が挙げられます。
※ほかにも、VPNやAWS Direct Connectで接続する方法もあります。
概要としては、下記の絵のとおりです。
HCXの利点ですが、ネットワーク体系をそのまま維持してL2延伸が可能です。
また、専用線などを必要とせず既存のWAN環境をそのまま利用することができます。
さらに、相互間のvMotionが提供されます。(DRとして最適ってことです。)
つまり、できるならこれを利用しない手はないでしょう。
とここまで、書いておいて・・とあるケースでこれを利用できませんでした。
理由は、既存環境にありました。
まず、オンプレ側においてvDSを利用している必要があります。vSSを使用している環境は変更する必要があります。(または、vDS環境を新規で作るなりして、そこを介する方法もありますが・・)
さらに、、HCXを構成する4つコンポーネントが問題でした。
HCX Component | vCPU | Memory | Disk 1 | Disk 2 |
HCX Enterprise Manager | 4 | 12 GB | 60 GB | N/A |
HCX WAN Interconnect (HCX-WAN-IX) | 8 | 3 GB | 2 GB | N/A |
HCX Network Extension (HCX-NET-EXT) | 8 | 3 GB | 2 GB | N/A |
HCX WAN Optimization (HCX-WAN-OPT) | 8 | 14 GB | 30 GB | 70 GB |
Total | 28 | 32 GB | 94 GB | 70 GB |
それなりのリソースが要求されます。この空リソースがオンプレ側に用意できないことが理由で断念しました。
また、他にも回線の要件など別にあって、その時はハードルを越えられませんでした。。。
予算を一定で用意できる場合、新規でHCX用の仮想基盤を立てるというのもありですし、そもそもHCXのメリットをどうしても利用する必要がない場合、別の手段で移行も接続もすることも可能ですので、必ず必要なわけじゃなありません。
そして2つめ
これは、かなりレアなケースだと思いますが・・
既存環境でRAWデバイスを利用しているような場合(例えばSQL Server クラスター化されているようなケース)、そのまま移行はできません。
少なくとも現時点でVMware Cloud on AWSではraw device mappingをサポートしていません。この際は、一度クラスターを解除し(仮想環境では冗長化を別で十分に担保できますし)、移行を実行しました。
最後に・・
少し長くなってしまいましたが、移行そのものはかなり容易かつシンプルにできるイメージです。正直、規模が小さければSIerは不要なレベルです。(汗)
運用もわかりやすい管理コンソールを使用して、簡単に行えます。
設計も、仮想基盤(vSAN、NSX、vSphere)そのものの設計は不要なので、難しく考える必要もありません。また、HW障害、バックアップなど日常的な運用もかなり簡単にしてくれるでしょう。
ぜひ検討してみてください。